栽培への姿勢Our Approach to Cultivation

心掛け keep in mind

美味しい、
と喜んでいただくために!

農作物を育てるということは、生き物・自然を相手にすることです。
どんなに「これで100%美味しくなるはずだ!」と自信を持って育てても、うまくいかないこともたくさんあります。
だから、「絶対なんてないんだ」と自分に言い聞かせながら、日々「昨年より、もっと良いものをつくれるように」と試行錯誤を続けています。

日常の中で、
心と身体を癒す薬草でありたい

清水農園が目指しているのは、日々食べるお野菜が私たちの心と身体を癒してくれるような、薬草のような農産物を作ることです。
栄養価があり、気力、活力に繋がる「身体にいいもの」であり、食べきれなくても冷蔵庫で長持ちして、何日にもわたって調理できて楽しめる「日持ちするもの」を提供できれば、きっとお野菜を通して私たちの心と身体は健康になっていく。
そんな農作物を育てるために、私たちが日々挑戦し取り組んでいることをご紹介します。

作物を健康に美味しく
育てるために Growing Healthy & Delicious Crops

栄養素吸収サイクルに
合わせた栽培

作物の生育ステージに合わせて、栄養素と吸収量を考えた栽培を取り入れています。
人間が赤ちゃんから大人になる様々な段階で必要な栄養素が違うように、作物も生育の段階で必要な栄養素が違います。
どんなに生育に良いとされているものでも、一度に全てを与えても効率は最大化されません。
生育状況に合わせてこまめに栄養を与えてあげることが理想です。

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作物の成長ステージに応じて変わる、必要な栄養素とその量
作物に必要な栄養素

作物によく不足しがちな栄養素として炭水化物(糖類)、アミノ酸、ミネラル、ビタミン類、カルシウムなどがあげられます。これらの栄養素は足りなくならないように注意する必要があります。反対に窒素は過剰になりやすく運動(光合成)不足に繋がり、身体がもろくなり、虫も呼び寄せてしまいます。傷口から病気にもなりやすく、味・品質ともに落ちてしまいますので、C/N比(炭素/窒素)を葉色や茎の状態で判断しています。適切な栄養管理のもと、光合成(運動)を最大限促し、体内に糖を蓄えることによって、抗酸化力が高く、ビタミンCも豊富で日持ちする作物になります。

COLUMN コラム

アスパラの成長

2022年、清水農園のアスパラにとっては厳しい年でした。
アスパラは収穫後も茎を残し翌年まで根を育ててあげる作物で、前年の影響を強く受けます。この年は雨が多く、病気が多発し、うまく光合成を行うことができず、栄養分を蓄えることができない状態でした。
「病気により落葉し、光エネルギーによる同化作用が行えなかった」
今のアスパラに必要な養分を考え、適切な種類と量を与える必要がありました。生育期間や吸収量、手段は限られましたが、最悪は乗り切り、翌年の収穫量は及第点となりました。

施肥量の見極め

作物品目ごとの必須栄養素のサイクル、前年度の吸収量、採取した土壌診断の数値を基に、実際に畑の土の状態を見て判断し、1 年間の使用資材(肥料)の量と頻度を決めています。
栽培期間中は生育状態が天候・病気・虫などの環境によって遅れたり弱ったりするので、その都度栄養管理を見直し過不足がないよう注意しています。作物をよく観察し、手遅れにならないようにすることを大切にしています。

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アスパラガスの施肥ごよみ
栄養管理に欠かせない葉面散布

日々の細かい栄養管理は、葉面散布という作業で調整しています。
液体肥料を水で希釈し、霧状にして散布、葉脈や茎から吸収させています。
これは、固形肥料が分解して根から吸収するよりも速効性があります。
栄養効果が低いものが多いですがその分細かい調整が出来るので、栄養素が過剰になることを防ぐことができます。
栄養素も、NPK主体やアミノ酸主体のもの、微量要素や炭素(糖類)、カルシウム、また腐植酸や植物ホルモン作用のあるバイオスティミュラントなど使い分け可能です。
散布時には、時間帯(朝露がある時間帯)や時期(月の満ち欠け)、PH(水素イオン指数)、低分子化やキレートされたもの、散布量や希釈量、浸透しやすい粒子の小さい噴霧ノズルなども考慮しています。
葉面散布での栄養管理の難しいところは、どのタイミングでどれぐらいの必要養分量かわからないといけないことです。
なるべく勘に頼らないように、作物の状態をよく観察しデータを蓄積、結果で判断する、という繰り返しで、少しずつ技術を高めて旨み・風味・食感を向上させることを目標としています。

栽培に大切な
3つの観点 Three Key Aspects of Cultivation

農作物を育てる上で大切な観点がいくつかありますが、そのうち「土づくり」「土地・風土」「資材(農薬など)」の3つについてお話しします

土づくり

文字通り作物の土台となる土づくりは農作物の栽培において最も大事な要素の1つです。元々の土地が持つ土壌環境を考慮した上で、排水性・保水性・通気性などの「物理性」、肥料などによる土壌養素を調整する「化学性」、微生物などによる「生物性」といったそれぞれの要素をコントロールする必要があります。

土壌環境

清水農園の農地は、40年前の基盤整備事業で泥炭地に灰色低地土(沖積土)の客土を行いました。
土を構成する粒の大きさを表す土性はやや細かめの埴土・植壌土ですが、粘土の割合は18~25%と一般的なものと比べるとやや少なめです。
耕作された表層の作土は25cmしかなく、その下の心土(泥炭)の影響を多く受けるので、作土と心土両方の土壌環境を整える必要があります。
こういった土壌環境によって、水はけの良さや肥料を留めておける保肥力に影響がでるので、土の状態をよく見極めて土壌環境を整えます。

物理性

物理性とは、土の排水性・保水性・通気性などの土の物理的な環境を作ることです。機械を使って土の状態を整えることでその物理性を確保します。(土壌三相)

表層の作土の物理性の確保には「団粒構造化」が鍵となります。団粒構造化とは、土を1cm程度の塊にすることで程よく柔らかい状態にして、作物が根を張りやすく空気や水の通りがよい構造のことです。
土の粒の粗さと細かさが両立できるように土を耕し、かついじり過ぎることなく空気や水の通り道を作ることが大切です。(TR比率~作物の地上部(Top)と地下部(Root)の乾物量の比率)

作土下10m以上ある泥炭層は、重量があるトラクターで何度も踏圧をかけると土が押し固まって通気性や排水性が悪くなったり地盤沈下に繋がるので、使用トラクターは6t以下としています。
固く締まってしまった土壌はサブソイラやプラソイラ、レベラーなどを使用して改善します。
また、泥炭地であるため無材暗渠(むざいあんきょ)という方法で排水対策を行えます。暗渠(あんきょ)とは土の中に排水用の水路を作ることで、資材を使った有材暗渠(ゆうざいあんきょ)と無材暗渠があり、無材暗渠が行えると有材暗渠に頼らず費用を抑えつつ排水対策を行うことができます。

化学性

化学性とは、肥料などをつかって土壌養素を調整することで、土壌の状態や作物の種類・健康状態を考慮して、1年間の施肥設計を行います。
施肥設計をする上で考慮すべきポイントは無数にありますが、その中でも大きな観点となるのが「地中窒素」と「保肥力」です。

窒素は植物の生育に欠かせないもので、主に地中の微生物によってアンモニア態窒素や硝酸態窒素といった状態になることで植物が栄養として吸収できるようになります。
これらの窒素由来の成分は多すぎても少なすぎてもよくありません。しかし地中窒素は気温などにより発生量が変化するものなので、季節や気温、地中の微生物の状態などの変化に合わせた施肥設計が必要です。

保肥力とは、土が栄養分を保持する力のことです。
土壌に与えた化学肥料や有機肥料は、その全てが根から吸収されるわけではありません。水などに溶けて流れてしまったり、地中の金属と固着するなどして残留するものなどさまざまです。これらをいかに吸収しやすい状態にしつつ、地中に不必要に蓄積しないようにすることが大切です。

これらの地中の状態を管理するために、清水農園では土壌診断を参考にしています。土壌診断は人間ドックのようなもので、現状の土壌養素を知ることができます。
また、診断結果ではわからないアミノ酸、炭水化物、糖などの栄養素は​​作物ごとの栄養周期を参考にし、PH(酸性度)やEC(電気伝導率)、地温などは日々の管理の中で記録して参考とします。
他にも、カルシウム・マグネシウム・カリウムのように、どれかが欠けても多くてもいけないという相乗効果や拮抗作用を整えることも合わせて行います。
このように、土壌診断も一つの判断材料として考え、総合的な判断で施肥設計を行っています。

生物性

生物性とは地中の微生物がもたらす土壌環境を整えることです。
微生物の世界は奥深く、一番コントロールが難しい分野だと感じています。肥料や栄養素と違い菌の世界は生態系であり、直接増やしたり減らしたりというのが難しいだけでなく、有用な菌が多くて有害な菌が少なければいいという単純なことでもないのがその要因です。
なので大きく偏ることのないバランスの良い多様性のある状態を目指したいと考えています。
その中でも、やはり有用菌が多いと作物にとってプラスに働くことが多いので、直接有用菌を散布するか、菌が増えるためのエサとなる有機物を与えるかというアプローチをしています。

具体的には、緑肥(燕麦・ヒマワリ・ヘアリーベッチなどなど)や野菜の残り・麦稈(ばっかん)や稲わらなどの畑の残渣(ざんさ)をすき込みして有機物を与えています。またキノコ菌床なども散布しています。
当園で特別こだわっているのは褐色海藻など与えていることです。非常に高額な資材ですが、オーキシンやサイトカイニンなど植物ホルモンを誘発してくれたり、多糖類による樹勢維持や土壌環境を整えてくれる微生物にとって最高のエサとなります。

土地・風土

同じ作物を育てるにも、違う土地、違う気候であれば当然育てる際に気を付けることも変わってきます。清水農園のある北海道江別市東端の「豊幌」の土地・風土に合わせた栽培方法を日々模索しています。

石狩泥炭地

清水農園のある「豊幌」は、北海道中央に大きく広がる石狩平野の中にあります。石狩平野には植物遺体が数千年にわたって堆積・形成された有機質土壌である「泥炭地」が多く広がり、これは元々農作物を育てるのには不向きな土壌でした。そこに客土として新たな土を運び入れ農地として使えるようにして、今私たちが作物を育てている農地となりました。
泥炭地のメリットは保肥力や保水力が高く、野菜にもピートと呼ばれる泥炭地独特の風味がのることがあります。デメリットはスポンジのように水を吸収しやすい分、地盤が非常に弱いことです。

豊富な水源

農業用水は夕張水系からパイプラインを通して利用していて、その豊富な水源は水稲や麦など穀物や野菜など作物全般作りやすい環境にあると言えます。
また雲の通り道で山川の影響により降雪も非常に多いです。雪は過剰な塩基など土壌養分を雪融け水と一緒に流してくれるので、土づくりに良い効果があります。また雪水に含まれるミネラルも良い土づくりに効果的です。

夕張川から豊富な水源を確保できる環境
夕張川から豊富な水源を確保できる環境
防風林に囲まれた地域

農園の周りには防風林が多くあります。防風林は冷気や強風を抑えてくれるというメリットがある半面、夏場は蒸れてしまったり、日陰となり光合成が抑制され作物の成長を阻害する要因となるなど、デメリットもあります。また、虫や動物の住処にもなり病害や食害の要因ともなるので、しっかりと対策をする必要があります。

資材・農薬などの活用

清水農園では、土づくり・土地・風土などと同じように資材や農薬のことも総合的に考え、データや経験を元に適切に資材や農薬を活用できるようにしています。

使用している資材

その年の気候や土の状況によって使用する資材や使用量は調整しています。

高度化成肥料
高度化成肥料とは、化成肥料のうち、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)を合計した成分含有率が30%を超えるものを指します。
作物ごとに一部微量要素が含まれている物もあり、速効性や遅効性、残効性など、比較的長いスパンでの肥効調整がしやすく、基肥・追肥と使い分けています。
単肥
単肥とは、窒素・リン酸・カリウムのうち、1つの無機成分だけを含む肥料です。 そのため、その時々に足りないものをピンポイントに補うことができ、異なる単肥を組み合わせて使うこともできます。
野菜には土壌の塩基を上げない硫酸加里を使用したり、その他には硫酸マグネシウム、バットグァノリン酸、パームアッシュ、硫安などを使用し、保証成分に含まれていない微量要素も考慮しています。
液体肥料
肥料成分を水溶液にしたもので、固形肥料と比較して速効性が高い肥料です。葉面散布や土壌灌注など作物の状態に合わせて施肥できるといったメリットがあります。植物抽出液、魚抽出エキス、海洋深層水、発酵アルコール、各種アミノ酸(グルタミン酸やALAなど)、カルシウム、腐植酸、各微量要素、二価鉄、亜リン酸、海藻粉末、などを使用しています。
有機肥料
主に草木、油粕、鶏糞、牛糞、魚の骨粉など植物や動物由来の肥料です。 有機肥料は地中の微生物によって分解されてから吸収されるため、効果が出るまで時間がかかります。
完熟牛糞堆肥(微生物と腐植の補給)、褐色類海藻(土壌微生物のエサ、植物ホルモン、炭水化物の多糖類・アルギン酸など)、卵カラ(放線菌を増やす土壌微生物のエサ、カルシウム補給、PH 調整など)、キノコ菌床(有機物分解、土壌菌多様化)、魚粉末(動物性由来のアミノ酸・グルタミン酸、旨みを乗せるため)、緑肥(ヒマワリ、エンバク、ヘアリーベッチ)、汚泥発酵肥料(飲料物や食品残渣など、普通肥料登録済み)、ビール酵母、などを使用しています。
土壌改良剤
土壌改良剤は土に栄養を与えるだけでなく、土の通気性や保水性を良くしたり、微生物を増やしたりする目的も合わせて使用します。
防酸炭カル(融雪促進、PH 調整)、硫酸カルシウム(PH を動かさずカルシウム補給)などを使用しています。
その他
その他には、稲ワラ、米ぬか、籾殻、炭(炭素補給、微生物エサ、地力向上)などの有機物や、クエン酸、ビタミンC、各種菌体(バチルス、光合成細菌、乳酸菌、トリコデルマ菌)などを使用しています。

深掘りトピックス DEEP DIVE TOPICS

資材を使用するときに気をつけていること

資材を使用するときには原料成分に注意しています。
資材に表示が義務付けられている保証成分以外の要素や、過剰蓄積にならないように使用資材の選択をしています。
また、以下のようなものが含まれていないかどうかは特に注意しています。
重金属、カドミニウム(リン酸系)、水銀(海藻魚介類系)、硫酸銅(牛糞系)、病菌、大腸菌(牛糞系)、害虫卵(センチュウ類)、残留農薬(クロピラリド)、雑草種など

使用している農薬

殺虫剤・殺菌剤・展着材と3 種類の農薬を、効果・目的ごとに使用しています。
同じ種類の剤でも、作物への効果やアプローチが異なるので、効果性を考慮して使い分けています。

農薬使用についての考え方(殺虫剤・殺菌剤について)
病害は病害三要因というものがあり、主因(病原菌そのものの有無)・誘因(病原菌の活動や作物の生育に影響する環境要因(温度、湿度、風通しなど)、素因(病害になりやすい作物や植物の体力・性質)
病害は、主因、誘因、素因の3つの要因が揃って初めて発生します。これらの要因の相互作用によって病害の程度が決まります。
当園はその中でも素因に注力し、しっかりと栄養管理をして順調に育った作物は身体が強く、虫や病気に負けづらく、農薬使用の回数を抑えられるという利点があります。
ただし、誘因である強風や大型台風、大雪などの災害で作物が物理的に傷つくことや、長雨・低温・高温・乾燥・湿害・干害などの悪天候が続き病害菌や虫や繁殖すると、作物の力だけでは乗り切れないことも多くなります。
そうした状況での症状を抑えるためや予防のために、作物ごとの規定内の使用回数と希釈倍率で適切に農薬を使用しています。

なるべく減農薬を目指していますが、近年は天候の変動が大きく高温多湿が増え、農薬の使用が増えてきているため、農薬に頼りすぎないためにもより一層深い知識と運用が必要となってきています。残留農薬についても数年に一度検査を実施して、適切な農薬の利用を心掛けています。